メッセージ

メッセージ一覧

赤川 次郎 作家

学問が国家に奉仕するようになれば、その結果はかつての戦争であり、原発事故です。学術会議は一人一人の市民の将来を担っていることを、広く発信していくべきでしょう。


阿部 公彦 東京大学教授

「国策」に従属する形で知が深まることはありえません。自由なきところに、知は育ちません。今回の菅首相による任命拒否問題は、御自身が理解しておられる以上に私たちの社会に深い禍根を残します。一刻も早く過ちを認め、謝罪し、適切な対応をおとりになることを求めます。いまだに一部の為政者が、自己の都合を優先するために「国策」という看板をかかげるということが今回の事件でよくわかりました。すでに死語かと思いましたが、「国策」という言葉遣いは要注意です。


安斎 育郎 立命館大学名誉教授

自由の抑圧は最も悪辣な民主主義に対する圧殺行為です。しかも、任命見送りに関する政府のこの間の答弁は透明性を蔑ろにした恐るべき反民主的態度に終始しています。日本の学術研究の自由を守り抜くために、分野を超えて科学者が声を一つに政治権力の介入に反対し、市民、国会議員ともども共同の輪を広げましょう。


池内 了 名古屋大学名誉教授

自民党の「改革案」は、日本の学術会議を大政翼賛会とするためのもので、国立大学の「改革」と並んで、アカデミアを国家に従順な組織へ再編成しようという意図が見え透いており、断固拒否致します。


池田 清彦 山梨大学・早稲田大学名誉教授

学問を政治に従属させようとの試みは独裁への道である。独裁政権下で、一般の人々が幸せになった試しはない。


池辺 晋一郎 作曲家

この国を成熟した文化国家だと信じていたい者にとって、今回の日本学術会議問題はショックです。学問の自由を尊重できない政治が横行する国にしないために署名します


井筒 和幸 「さわれる楽器博物館」主宰

現政権への批判をゆるさないとの考えに強く異議を申し立てます。


江川 紹子 神奈川大学特任教授

恣意的な任命、あるいは任命拒否とならないよう、菅首相には、6 人を任命しなかった理由、あるいは任命の基準を示していただきたいです。


大野 和興 特定非営利活動法人日本消費者連盟代表運営委員

私どもは、生命と人権、市民的自由、平和、民主主義の実現をかかげて消費者運動の分野で活4動している市民団体です。日本学術会議をめぐる今回の問題は、単に学者、研究者だけでなく、市民社会全体への挑戦であると認識しています。さまざまな分野で活動している市民運動にも網をかけ、考える自由、考えた結果を世に問い、行動する自由と権利を規制し、統制する第一歩に他なりません。


岡本 厚 元「世界」編集長

菅首相の学術会議メンバーの任命拒否には、憤りと危機感を感じております。私は出版社の人間ですが、岩波書店は戦前、「津田左右吉事件」という言論弾圧事件の被告となったことを想起せざるを得ません。学問の自由への侵害は、即出版の自由、表現の自由、思想・良心の自由への侵害と紙一重です。この任命拒否をこのまま認めるわけには断じていかないと考えます。


隠岐 さや香 名古屋大学大学院経済学研究科・教授

ナショナル・アカデミーである日本学術会議の会員選出は、自律的、独立的であるべきことが法的に保障されています。今回、この原則が恣意的にねじ曲げられました。その問題が片付かないのに、組織改革という本来なら任命拒否問題に全く関係がないはずの要求が自民党から出されました。これは恥です。何故なら、国際的な、少なくとも先進国の常識からすれば野蛮極まりないやり方でしかないからです。私は 2020 年 10 月以来、この国に所属する研究者であることを不名誉と感じざるを得ない立場に置かれてしまいました。確かに歴史の中には、一つの政府がある臆見に囚われ、政治の論理が先走り、学者を弾圧するという出来事が定期的に起こります。それは暗い歴史としてそれぞれの国の記憶に刻まれます。無論、いつまでもその出来事の暗さを認識できないままの国もあります。そうした国は、自分たち固有の世界観に閉じこもったまま、より自由な国からそれとなく哀れみの眼差しを向けられ続けることになります。私はそうした場面をこれまでいくつも目にしてきました。今この瞬間にも、日本がそのような哀れまれる類の国へと変貌していく。そう思うと、悲しみを覚えます。私より若く、この後を生きる世代のことを考えてしまうからです。これ以上私たちに恥の上塗りをさせないで下さい。


小熊 英二 歴史社会学者

権力者が法を守らなくなったら、他の人も、心から法を守る気にはなれません。そうなれば、
力で強制しないかぎり、誰も法を守らない状態になります。そして、いったん権力を失った人には、何らの権利の保証もなくなります。いま権力を持っている方も、ぜひご自身のために、法を守ってください。


金平 茂紀 ジャーナリスト

6人の学者の任命拒否に端を発する一連の動きを、僕は「日本学術会議事件」と捉えています。敢えて言えば、先のミャンマーの軍事クーデターと同質の、悪辣な狙い撃ちで、決して受けいれられない仕打ちです。①任命見送りの理由の説明、②6人のすみやかな任命の実行、すなわち違法状態の解消、の2点において、声明の趣旨に賛同致します。


川嶋 みどり 日本赤十字看護大学名誉教授

学問の自由、表現の自由は民主主義の根幹です。あの 15 年戦争の空気を吸った者として、また人々のいのちを守る最前線で働く看護師を育てる教育者としても、 6 名の方の速やかな任命を求めます。学術への政府の権力介入には断固反対です。


金 性済 日本キリスト教協議会総幹事

私は昨年 10 月 1 日に公表された日本学術会議任命候補者6名除外事件に驚き、10 月 7 日にNCC 総幹事として諸委員長がたと共に抗議声明を発出しました。この学問の自由の堤防の決壊はやがて教育内容と人事行政全般に及び、さらには信教の自由にも及ぶであろうという危機感を抱きます。


郷原 信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所代表、弁護士

日本学術会議の会員任命見送り問題は、昨年、国会、マスコミでも厳しい批判を浴びた黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題と、共通の問題があります。検察が、刑訴法上の権限を持つ「権力機関」であるのに対して、日本学術会議は、「科学に関する重要事項」の審議機関であり、直接的に権限を行使する立場ではありません。しかし、いずれも、「独立性」を尊重される組織の人事の問題であり、政府の対応の違法性が指摘され、しかも、それに関して「法解釈の変更」があったことに共通性があります。黒川検事長定年延長問題は、検察庁法改正問題に発展し、ネット上のムーブメントが法案成立を阻止することになりましたが、学術会議問題が、今のところ、大きな国民的な動きにつながっていないのは、学術会議問題は、権力機関の検察の問題のように「単純化されにくい」からだろうと思います。この「声明」が少しでも多くの国民の目にとまり、改めてこの問題への関心が高まることを期待しています。


古賀 茂明 政治経済評論家 元内閣審議官・経済産業省官僚

野党やマスコミが任命拒否の理由を追及したことはやむを得ないことではあったが、日本学術会議法の本旨に立ち返って考えると、そもそもどんな理由であれ、菅義偉総理は任命を拒否してはならないということを忘れてはならない。「犯罪者のような極端な例では任命拒否できることは認めるが」と発言した国会議員もいたが、この論法は極めて危険だ。それは何故か。独立性を保証すべき組織のメンバーの任命について、法律で制限をしたい場合には、内閣の恣意的な介入を避けるために、具体的な欠格事由を法律に書くのが普通だ。例えば、カジノ管理委員会は、内閣総理大臣の所轄に属すること、その委員長と委員は独立してその職権を行うことなどにおいて、日本学術会議と類似の性格を有する。しかしカジノ管理委員会の委員長や委員は、「禁固以上の刑に処せられたもの」はなれないなどと、法律(特定複合観光施設区域整備法案第217 条)にわざわざ書いてある。

一方、学術会議法にはこうした規定はまったくない。日本学術会議法第 7 条第 2 項と同法第 17条には、日本学術会議が「優れた研究又は業績がある科学者」の中から会員候補を選考して内閣総理大臣に推薦し、その推薦に基づいて内閣総理大臣が会員を任命すると書かれている。推薦の条件は「優れた研究又は業績がある科学者」とあるだけで、「犯罪者を任命してはいけない」という条項はない。もう少し具体的に言えば、今後、集団的自衛権を行使して日本がアメリカと一緒に戦争をする場合、戦争批判や敵国礼賛の言論に制限を課す法律ができるかもしれない。その法律が違憲であっても、政府は戦争批判をした学者を訴追し、「犯罪者」の烙印を押すだろう。あるいは、政府の機密情報を使って政府の犯罪的行為を暴き、非常に優れた論文を発表した学者を、政府が特定秘密保護法違反だとして犯罪者にしてしまうということも想定しうる。つまり、「犯罪者」を決めるのは、事実上政府なのだ。

このようなケースを考えると、「犯罪者」は会員に任命できないということを「法律に書いていないにもかかわらず」、政府が任命拒否の理由にすることは誤りであり、学問の自由を大きく侵害6する行為であることがわかるだろう。もちろん、学術会議が殺人者を会員にして良いということを言いたいのではない。学術会議自身がそんな馬鹿な判断をすることはあり得ない。そこは学術会議の良識を信頼するしかないのだが、学者の最高権威である組織の独立性と健全性の両立を図るために、人事について学術会議の自治に任せるのと時の権力者にそれを委ねるのとどちらが正しいかという問題である。

日本学術会議法制定の本旨は、科学者の代表機関が政府と異なる意見を堂々と述べることを認めることにより、政府の過ちを正すことにつながるということである。だからこそ、学術会議の会員の任命について、総理に拒否権を持たせるようなことはすべきではない。任命拒否をしてもいい理由が法律に書かれていない以上、いかなる理由も任命拒否の理由として認めてはいけないのである。もしも学術会議よりも政府に優越的な判断権を与えるべき事項があるということであれば、その条件を法律に明示すべきだ。任命拒否の理由を問うことは、理由次第では政府が任命拒否をできると受け取られかねない。そのリスクを十分に認識すべきである。

内閣情報調査室(内調)や警察などが学術会議が推薦した者について、スキャンダル情報として使えそうなものをかき集め、任命拒否の理由をこじつける可能性も十分にある。学者の選考にはあくまでも政府の介入を認めないということが、何より重要だ。学者の思想信条はもとより、女性が少ないとか私立大学出身者が少ないなど、一見正当に思える理由であっても、政府が任命拒否をすること自体が違法であることを、法制定の趣旨も含めて、市民にしっかり訴えていくべきだ。


斎藤 貴男 ジャーナリスト

学問が国家に支配されるなどということがあってはなりません。


斎藤 美奈子 文芸評論家

昨年来のコロナ禍で、現政権はまったく使い物にならないことが白日の下にさらけ出されました。学術を軽視する姿勢と、この間の感染対策の失敗は、完全に表裏一体です。これを許したら、私たちはとんでもない「しっぺ返し」にあうでしょう。なーにが東京オリンピックじゃ、です。学問の自由も保障できないのに、この国に「平和の祭典」なんかを主催する資格はありません。


酒井 かをり 日本出版労働組合連合会委員長・日本マスコミ文化情報労組会義副議長

100年前に逆戻りすることなく、過去の戦争の反省を活かし、世界の平和を希求する日本であり続け、未来の子どもたちにバトンを渡し続けるために、政府から独立した学術会議であり続けることが重要です。


佐高 信 評論家

窃盗で東洋大学教授をクビになった高橋洋一を菅義偉は内閣官房参与にした。政府に批判的でなければドロボーでもいいということだろう。こういうわかりやすい例を紹介してもっと泥臭く闘う必要がある。


佐藤 章 ジャーナリスト

菅首相による6名の任命拒否は明確に日本学術会議法違反です。学問の自由を尊重する法の精神に反し、経緯の実態をみても実質的な拒否判断を一官僚に任せるなど、二重の意味で法に反しています。日本が法治国家であるなら、この事態は断じて許容できません。菅首相は責任をもって拒否した理由を明らかにし、速やかに任命しなければなりません。このことをしないのであれば、法治国家である現代日本の首相であることはおろか国会議員であることも許されません。以上、菅首相の再考を求めます。


佐藤 康宏 東京大学名誉教授

このたびの日本学術会議会員候補のうち6名が任命拒否された事件は、もちろん学問と表現の自由を脅かすできごととして、認めるわけにはいきません。しかし、私が最も重視しているのは、これが首相による法律違反であることです。日本学術会議法は、委員は学術会議の推薦に基づいて任命されると定めており、従来その任命に首相の裁量が関与することはありませんでした。今回、首相はこれまでの法律の運用を無視し、推薦された候補のうち6名だけを任命拒否するという暴挙に出たわけです。行政が法律に基づいて行なわれるべきものであることは、いうまでもありません。その行政の長が法律に違反する行為をしたことを看過してはなりません。これを認めれば、どのような法律も政府の望むような解釈と運用をしてかまわない、ということになりかねません。問題は単に学問や表現の世界にとどまらず、広く一般の人々に関係するのだということを強調したいと思います。

なお、聞けば日本学術会議は、拒否された6名のうち5名を連携会員としたといいます(加藤陽子教授はそれを拒否)。これでは問題の解決にはなりません。今回の問題が起こる前からも起こった後も、学術会議は政府に対して弱腰と見える対応を取っているのが残念です。


品田 悦一 東京大学教授(大学院総合文化研究科)

現政権のファシストたちに一歩も引かぬ気概で立ち向かってください。


申 惠丰 青山学院大学教授

首相による日本学術会議会員候補 6 名の任命拒否は、明らかな違法行為であるとともに、憲法で保障された学問の自由や思想・表現の自由を揺るがす行為です。学問の独立性を損なうこの違憲・違法行為が何ら是正されないまま、政権与党が日本学術会議側の改革を提言し問題をすり替えようとしていることは、国際社会においては、日本が果たして法治国家であるのか、それとも、法の支配がなく、政権によっていかようにも法の解釈・適用を恣意的に変更できる専制的な国家であるのかという疑念さえ提起するものです。独立であるべき学問に政治が介入し、時の政権の国策にとって都合が良い「学問」だけを推進することがどのような結果をもたらすかは、日本を含め、戦前・戦時の歴史が示していますが、今日においても、間違いなく、健全な批判的精神を削ぎ、自由闊達な表現活動を委縮させ、結果的に日本の国力を大きく低下させることでしょう。まだぎりぎり間に合います。首相及び政権与党は違法な政治介入を直ちに是正し、憲法と法律を遵守することによって、日本が法治国家であることを示して下さい。


高橋 哲哉 哲学者

この問題についての政府・菅首相の説明は、なぜ、これら 6 名の方が任命拒否されたのかの説明にはなっておらず、全く説得力がありません。最低限の説明責任を果たしていない状態です。まずは 6 名の方がなぜ任命拒否されたのかの明確な説明を求めます。こうした恣意的な人事がまかり通ることを認めることはできません。


竹信 三恵子 ジャーナリスト、和光大学名誉教授

私たちは「女性労働問題研究会」として、ジェンダー研究にいかに学問の自由が重要かを訴えさせていただきました。政府が考えている女性像と実際の女性の姿とは大きくずれることが少なくありません。その意味で学問の世界への介入が強まれば、実態にあった問題解決は阻まれ、国民生活も疎外されます。学術会議問題の正面からの解決なしに時々の政権に都合のいい組織づくりが横行すれば、このような弊害は女性政策はもちろん、あらゆる生活者にかかわる政策にもたらされるでしょう。この問題をあいまいにすることなく、引き続き追及していくことを各界に求めることに強く賛同します。


立川 談四楼 落語家・作家

歴代総理はもちろん、中曽根大勲位さえ容認したものを突然の任命拒否。その理由を一切説明せず、菅さんには説明責任がある。安倍政権をほぼそのまま引き継ぎ、つまり前例踏襲と言いながら、突如として前例打破(任命拒否)は矛盾している。菅さんは学術を信用せず、科学的でもない。それがコロナ対策に表出している。現にノーベル賞受賞者を含む多くの学者が提言したPCR 検査を拡充しなかった。そして仕事を失い、貧困に喘ぐ国民に自粛を強いつつ、充分な補償をしなかった。この人がトップでいる限り、コロナも学術会議問題も収束しない。


中島 京子 小説家

すみやかに六名の方々を任命し、この度のことを謝罪するよう政府と菅首相に要請します。


永田 和宏 京都大学名誉教授・京都産業大学名誉教授

日本学術会議は、科学的知を結集して、社会の発展に寄与することが第一の大切な役割です。

いわば科学を基礎にした社会の〈前衛〉としての役割です。しかし、もう一つ大切な役割があります。それは、日本という国が、また政治が誤った方向へ舵を切ろうとする時、それに科学的観点から警鐘をならして、それを是正するという役割です。いわば社会の後衛としての役割です。それを為すためには、常に批判的にものごとを判断する姿勢が何より必要であり、それはまた学問そのものに欠くことのできない基本姿勢でもあります。日本学術会議が推薦した6名の新会員任命拒否は、このような批判精神を必須のものとする学問への挑戦であり、それをうやむやにするならば、わが日本という国が、ブレーキを欠いた暴走車になる危険性を容認することにもなりかねません。何としても、6名の任命拒否の撤回を実現しなければなりません。


西川 信廣 日本劇団協議会会長

日本学術会議会員候補者6名の任命拒否は、私たち表現者・演劇人の「表現の自由」に関わる問題でもあります。「政権の意にそぐわない人間は認めない」は戦前の新劇団強制解散に通じるものです。私たち表現者・演劇人は今回の任命拒否問題を見過ごすわけにはいきません。


野家 啓一 東北大学名誉教授・立命館大学客員教授

管総理による日本学術会議会員候補者6名の任命拒否は、戦後 70 年以上にわたって築き上げてきた科学者コミュニティと政府の間の信頼関係を根底から破壊する暴挙であり、とうてい容認することはできません。加えて、政府が学術会議に求めている組織改革は、居直り強盗にも似た論点の卑劣なすり替えです。現在政府がなすべきことは、第一に任命を拒否された6名の会員候補者を速やかに任命すること、第二に拒否理由を国民の前にはっきりと開示すること、この二点以外にはありません。


羽場 久美子 青山学院大学名誉教授・神奈川大学教授

表現の自由維持に対し、賛同の輪が広がっていくことを期待しております。


浜 矩子 同志社大学大学院ビジネス研究科教授

守るべし、日本学術会議の魂!振り払うべし、言論の自由に向かって伸びる魔の手!


藤谷 道夫 慶應義塾大学文学部教授(イタリア学会会長)

菅首相は NHK のインタビューで「説明できることと説明できないことがある」と述べていましたが、これこそが大きな問題です。「民は由らしむべし、知らしむべからず」という封建時代の発想を民主主義社会に持ち込んでいる点です。首相がまず民主主義が何かが解っていない。首相は《王》ではなく、国民から税金で雇われた、いわば《雇われ店長》に過ぎません。勝手に法を都合よく曲げたり、解釈したりすることは許されません。雇い主である国民に報告と説明の義務があるのです。最初から議論を封殺する姿勢は民主主義の破壊であり、菅首相が行なっていることは、江戸時代の先祖返り以外の何ものでもありません。思想の自由の侵害はもとより、それ以前に、菅首相が民主主義社会の政治家にふさわしくないことが、そしてそのことに本人が気づいていないことが大問題なのです。悪をなすことが本当の悪なのではなく、自分の悪を見ないことなのです。そして悪は議論の《すり替え》を好みます。これが悪の指標となります。誠実な人間は決して議論をすり替えたりしません。自分の意見を堂々と表明して、討議すればよいのです。このような姑息なやり方は、自民党に正義も誠実も失われていることをよく証明しています。


藤原 辰史 京都大学准教授

満足な理由を説明しないで人を組織から排除していくというやり方が、政府や国民によって暗黙のうちに支持されている。そんな口より手が先に出る組織は、若い人を萎縮させるから、新しいことを生み出させない。教育も経済も世界からますます遅れをとるだろう。稀に腐った組織を変えようと思う人間が出てきても、組織の中枢に入っていくしかない。そのためにはどうすればいいのか。排除されないために、組織トップへの批判ではなく、擦り寄りを繰り返すしかない。出世競争が忖度競争になる。そうして、組織は自己愛に溺れて硬直化し死滅するだろう。


古川 隆久 日本大学文理学部教授

このまま 6 人を任命せずに事態の推移を許すことは学問や思想・表現の自由を阻害することにつながります。まずは 6 人の任命を強く求めるべきです。


古舘 寛治 俳優

日本人の無関心、そして諦めによって今、日本の政治は危機的状況にあると思う。この国が民主主義を手放すのは時間の問題に感じる。その中でも最も大きな問題の一つが日本学術会議問題だ。学問、科学を時の政府の道具にさせてはならない。時計の針を戦前に戻す愚かな行為を見過ごすわけにはいかない。この国を前に進めたいのなら心あるもの達で自民党改革案を止めないといけない。


本田 宏 NPO 法人医療制度研究会副理事長

日本は過去の歴史と真摯に向き合うべき。学術会議総動員体制は、大日本帝国と同じ轍を踏む。


松元 ヒロ コメディアン

「日本学術会議」から学術をとったら日本会議になります。憲法で保障された「学問の自由」を失うことになります。学問の自由が無くなれば私たちの表現の自由も思想の自由も奪われます。私たち主権者である国民の権利を奪うことは許されません。速やかに撤回してください。


山田 厚史 ジャーナリスト

菅首相の正体を曝け出した愚挙、好き放題にさせない、ここは一踏ん張りですね!


山本 健慈 和歌山大学名誉教授・元学長

論理なき学術政策は学術の倫理をも失わせるであろう。すでに論理なき政治によって政治の倫理が失われている。


吉岡 忍 作家、日本ペンクラブ前会長

学術の振興、文学やジャーナリズムの活性化は社会が目先のことにとらわれず、奥行きのある時間軸と幅広い視野に基づく思考を育てていくために、絶対に欠かせないものです。停滞するこの国の未来も、社会の根本にあるそうした知の力にかかっています。


吉原 毅 城南信用金庫名誉顧問

学術会議の皆様には、私達国民に対してどのように学問により国民に貢献していくかについて積極的にお考えを表明していただければ理解が広まり、応援が広がると思います。


渡辺 えり 日本劇作家協会会長、作・演出・俳優

様々な角度から物事を見、様々な価値観を持った学者達の考えを聴くことが大事だと思います。それらを封じてしまえば、国民の豊かな生活を守り、言論表現の自由を守ることはできません。速やかに6名の任命拒否を撤回し、「日本学術会議」の本来の意味を確認しその原点に立ち返っていただきたいと思います。


渡邊 孝好 映画監督

科学や芸術に政権が口出すものではありません。私はこの会の声明に賛同します。